Column

ニューノーマルのイベントマーケティングを考える「KPI、ちゃんと再設定しましたか?」

2024.08.01

2024.08.01

こんな人におすすめ

  • オンラインセミナーでリード数は確保したが、想定していた商談数が上がらない
  • セールスからリードの質に関するクレームが増えた

ニューノーマルのイベントマーケティング

2019年末に始まった新型コロナウイルスの世界的大流行以降、対面営業を主軸とした国内のBtoBのセールスやマーケティングシーンは大きな変貌を遂げました。特にBtoBマーケティングの主力施策であったイベントマーケティングは、現在のニューノーマル時代に突入してからその在り方は変化しています。

このコラムでは、ニューノーマル時代のイベントマーケティングのKPI(重要業績評価指標)について、特にプライベートオンラインセミナーの視点で掘り下げて考えてみます。なぜなら、いまBtoBのイベントシーンにおいて、多くの企業でオンラインセミナーを主軸としたマーケティングサイクルを構築しているにもかかわらず、フィジカルセミナーが主体であった頃のKPIをそのまま使ってしまっていることで新たな落とし穴に陥っている企業が続出しているからです。

オンラインセミナーの新たな落とし穴

BtoBマーケティングでは、リードジェネレーションやリードナーチャリングといった領域を問わず、永きにわたってイベント施策(大型展示会、メディア協賛型セミナー、プライベートセミナーなど)が重要視されてきました。これは移動距離が限定的で、ビジネスの中心的な役割を担う都市が限られている日本国内ではとても合理的であり、欧米と比較してweb主体のインサイドセールスが遅れをとっていたことにも由来しています。

かつてBtoBマーケティングでは、あらゆる段階でイベントを駆使し、リードを営業部門にパスする仕組みが定着しており、それは理論立ててマーケティングを仕組み化していなかった企業でも、感覚値によって成立するほどでした。大型展示会に出展した際の獲得名刺数や大規模セミナーの集客数、そしてそこから得られるリード数とパイプライン数など、ある程度の予測を元にマーケティングやセールスの組み立てが成立していました。

しかしコロナ禍を経た現在では、多くの企業でオンラインセミナーを主軸に据えたマーケティングフローが確立しています。そして、オンラインセミナーへの集客数に関しても、多くのセミナーで目標を達成しています。その一方で、新たな落とし穴に見舞われるマーケターが続出しています。

それは、
ー リード数は確保したが、想定していた商談数が上がらない
ー セールスからリードの質に関するクレームが増えた
といった落とし穴です。

落とし穴の原因は?

こうした落とし穴には幾つかの原因があります。それは「リードジェネレーションなのか?ナーチャリングなのか?といったセミナーの目的を明確に設定していなかった」ことや「有効なコンテンツを準備できなかった」、または「セミナー後の施策が不十分だった」といった基本的な原因もあるでしょう。しかし、準備やコンテンツに問題がなくても落とし穴に陥ってしまうのであれば、それは「KPIの設定」を疎かにしてしまっているのかもしれません。

では、セミナーのKPIについて考えてみましょう。BtoBマーケティングにおけるセミナー最大のKPIを、集客数と捉えるマーケターが圧倒的に多いのではないでしょうか?

集客数が重要な指標になり得ることは間違いではありません。しかし、それよりも重要なのは「集客したリードからどれだけセールスに繋がったのか?」という成果です。そのためには、オンラインセミナーにおける集客数から成果につながる期待値の精度をアップデートしていかなければなりません。

当然ですが、セミナー参加者の中には潜在層も顕在層も含まれます。さらに、非ターゲット層も含まれます。そしてその比率は、フィジカルセミナーとオンラインセミナーでは大きく異なってくる可能性があるのです。

しかし、「セミナーのKPI=集客数」というコロナ禍以前の固定観念が強いため、セミナーの成果に対する期待値(どのマーケティングフェーズで、どのようなセミナーを行えば、どのくらいの成果に繋がるか?)という本当に重要な部分を計測し、アップデートできている企業は多くはありません。

現在のBtoBマーケティングでは「小規模・頻回のオンラインセミナー」「Webを基盤としたインサイドセールス」「それらを支えるコンテンツ」に対する取り組みが盛んになっています。このうち「Webを基盤としたインサイドセールス」と「それらを支えるコンテンツ」に関しては効果の計測が容易で、KPIの設定やPDCAサイクルによるKPIの見直しまで問題なくできているといった企業でも、オンラインセミナーに関してはKPIを集客数に据えたままであることが多く、落とし穴に陥っているのではないでしょうか?

新たなセミナーのKPI設計に向けて

そもそも、フィジカルでのセミナーとオンラインセミナーでは、参加者のモチベーションやリードとしての質は大きく異なります。実際に移動の手間をかけてまで参加するフィジカルセミナーと自宅から“ながら見”で参加きるオンラインセミナーでは差が出ることは当然と言えます。また、投下できるコンテンツのボリュームやアンケートの回収難易度なども違うため、オンラインとオフラインでは異なるアプローチが必要となります。当然、会期後フォローの難易度も変わってくるでしょう。オンラインセミナーで落とし穴に陥らないためには、こうした“オンライン化による変数”を考慮した新たなKPIの設定が必要となってきます。

しっかりと参加者アンケートを収集し、参加者の属性を、潜在層、顕在層、非ターゲット層で区分することや、セミナーのKPIに「将来の見込となりうるリードの数=ターゲット含有率」を含めていくなど、考えられる方策は多岐にわたります。

いま、多くの企業で「小規模・頻回のオンラインセミナー」を主軸にしたマーケティングサイクルが構築されています。また、フィジカルセミナーへの回帰も加速しています。これからのBtoBマーケティングにおけるセミナー施策を考えるとき、”オンラインセミナー”と”フィジカルセミナー”の根本的な相違点に目を向け、それぞれに最適な成果期待値を算出しなおし、KPIを再設計する必要があるのです。

この記事を書いた人

BtoB Marketing eX株式会社エムエム総研

BtoB Marketing eXは株式会社エムエム総研が提供するBtoBマーケティング支援事業です。BtoBに特化した実績と専門的な知見を活かし、「戦略」と「実行」を兼ね備えたBtoBマーケティング支援企業として、お客様の課題解決と事業拡大を支援いたします。

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