Column
ニューノーマルのイベントマーケティングを考える「アンケート回収を疎かにしていませんか?」
2024.08.01
2024.08.01
こんな人におすすめ
- オンラインセミナーを開催しているが、思っていたほどのパイプラインに繋がらない
- セミナーを介したリードの品質が低く、営業からクレームがくる
BtoBマーケティングの主軸施策となったオンラインセミナー
いま、BtoBのマーケティング施策にWebマーケティングとインサイドセールス、そしてオンラインセミナーを主軸に据えた体制をとる企業が増えています。
しかし、限られたマーケティングリソースの中で、Webマーケティングとインサイドセールス、そしてオンラインセミナーの全てを一律に推進できる企業は多くありません。こうした中、一朝一夕での体制構築が難しいインサイドセールスと比べ、過去の経験を活かせる(ことが出来ると思っている)オンラインセミナーを喫緊の課題として取り組んできた企業が多く、現在では小規模オンラインセミナーを毎週開催するような企業も少なくありません。
手探り状態からスタートしたオンラインセミナーを一定頻度で開催できるようになった事は大きな成果と言えるでしょう。しかし、オンラインセミナーがマーケティング施策の一環である以上、その本来の目的は開催することではなく、リードジェネレーションとナーチャリングです。
しかしいま、オンラインセミナーの開催は滞りなくできるものの、「思っていたほどパイプラインに繋がらない」や「オンラインセミナーを介して得たリードの品質が低く、営業からクレームがくる」といった課題に直面している企業が増えているのです。
なぜ、このような課題に直面してしまうのでしょうか?
オンラインセミナーの落とし穴
オンライン/オフライン問わず、セミナー単体では高品質なリードを創出する事は出来ません。あくまでも、その成果はフォロー施策とセットで考えるものです。なので、オンラインセミナーから高品質なリードが創出できない問題は「セミナー自体の課題」と「フォロー施策の課題」の両面で把握しなくてはなりません。
まず、セミナー自体に紐付く課題としては
- セミナーコンテンツと参加者のマッチングが悪い
- そもそもの参加者のポテンシャルが低い
などが考えられますが、これは集客方法の改善やそもそものKPIの立て直しが必要になります。
そして、セミナー後の施策に紐付く課題としては
- 従来と比べてテレマーケティングで捕まらない
- メールによるアプローチを行うも未開封
といった、インサイドセールスによるアプローチの高難易度化が挙げられます。これを解決するにはホットリードの見極めを高い精度で行う必要があるのですが、ホットリードを見極めるには開催者と参加者による双方向コミュニケーションが欠かせません。フィジカルセミナー時代には「質疑応答」「営業や説明員によるサポート」「アンケート」など、多くの双方向コミュニケーションが行われていました。
にもかかわらず、オンラインセミナーでは、双方向コミュニケーションの要であるアンケート回収を疎かにしてしまっている企業が多いのです。なぜ、多くのオンラインセミナーでアンケート回収を疎かにしてしまっているのでしょうか?
そもそも、オンラインセミナーにおけるアンケート回収は、終了時に直接声をかけることも出来ませんし、ノベルティと引き換えにするような手法も採れません。さらには周りの人がアンケートを記入しているという同調圧力も働きません。よってフィジカルセミナーと比べて回収難易度が高い傾向にあります。また、開催側の思惑としても、参加してくれた事で満足し、「アンケートの手間を取らせるのも…」や「Webで帰結するのでlogがある。まずは満足してもらうことを優先しよう」という余計な気遣いが働いてしまうこともあります。このような背景によって、オンラインセミナーでは参加者へのインプットだけを行い、パイプラインに至る工程を開催後フォロー(主にインサイドセールス)に丸投げしてしまっている企業が圧倒的に多いのです。
しかし、冒頭で書いた通り、インサイドセールスに充分な体制構築が出来ている企業はそう多くはありません。少ないリソースで淡いリードに対して延々とフォローを行っても、満足のいくリード創出に繋がらないのは言うまでもないでしょう。
アンケート回収に対するマインドチェンジを
オンラインセミナーの参加者はフィジカル時代と比較すると、リードとしてのポテンシャルは低い傾向にあります。移動を必要とせず手軽に参加できる反面、「なんとなく登録」「とりあえず登録」といったターゲット外の参加者が多いからです。参加中も別の業務と並行して参加している方も多いでしょう。よって、オンラインセミナーを実施する際には参加者のポテンシャルや意識が低いことを前提に考える必要があります。
フィジカルセミナーでは、わざわざ足を運んでくれたポテンシャルの高い参加者に対し、「参加者全員に意識を向ける」ことが重要でした。一方、オンラインセミナーでは気軽に参加するポテンシャルの低い参加者群の中から「ポテンシャルの高い人を探す」ことが重要になります。アンケート回収を実施しても、フィジカルセミナーと比べて大きく下回ってしまう・・・と言う悲観は全く必要がありません。どんなに作戦を講じてもフィジカルセミナー以上のアンケート回収数を超えることは難しいでしょう。
オンラインセミナーにおけるアンケートでは、「70%の回収率ではなく、ホットリードからの回答を」や「高い満足度を獲得するより、ホットリードを見逃さないため」というマインドチェンジこそが必要になります。
では、どのようなアンケートがオンラインセミナーにとって有益なのでしょうか?
アンケートの回収方法を工夫する
アンケートを実施している多くのオンラインセミナーで採用されている手法としては、セミナー資料と引き換えにアンケートを回収する方法です。しかし、どんなに対策を講じても録画できてしまうオンラインセミナーでは、セッション資料だけではアンケートの引き換え材料としては薄弱です。
よって、アンケート結果を取りまとめたホワイトペーパーや、セッションの続編となるコンテンツなど、セミナーの内容に+αとなるようなコンテンツを用意してアンケートを回収することが効果的です。こうした対策は、ホットリードの見極めにも繋がります。
いま、多くの企業でセッションコンテンツだけを用意してセミナーを実施していますが、最初から「セッションで聴かせる部分」「フォローで活用する部分」を分けて準備する事で、大きな手間をかけずに有効なアンケート回収を行うことが出来るでしょう。
回収率や満足度の低さに悲観してアンケートを実施しないオンラインセミナーが増えていますが、コアなターゲットを見逃さず有益なフォロー施策へと繋げるために、オンラインセミナー時代に最適化したアンケートに実施は喫緊の課題と言えるでしょう。