Column

ニューノーマルのイベントマーケティングを考える
オンラインで実現できていない施策:
経営層とのリレーション構築を考える

2024.11.06

2024.11.06

こんな人におすすめ

  • 経営層とのリレーション構築が出来ていない
  • マーケティングに自社の経営層を巻き込みたい

日本国内のBtoBマーケティングでは、長きにわたってリアルコミュニケーションを主体とした施策が主流で、オンラインマーケティングへの移行は難航が予想されていました。しかし、多くのマーケターの尽力もあり、コロナ禍以降BtoBマーケティングのオンライン化は大きく前進してきています。現在では、Webマーケティングのプラットフォーム整備やインサイドセールスの体制構築、そしてオンラインセミナーの運用など、BtoBマーケティングを駆動する主力施策は概ねオンライン施策がメインとなっています。

一方で、BtoBのオンラインマーケティング時代を迎えた今でも、うまく実現できていない施策もあります。その一つが「経営層とのリレーション構築」です。特にエンタープライズに向けたビジネスでは、ユーザー部門に向けたマーケティング施策だけでは商談までの期間が長引いてしまうため、ターゲット企業の経営層とのリレーションは重要な取り組みになります。ある程度の予算をかけて経営層に特化した専門メディアなどを駆使することで、経営層のリードを獲得することは可能ですが、リレーションの構築となるとオンライン施策で行うには難易度は一気に上がってしまいます。

なぜ経営層とのリレーション構築は難しいのか?

オンラインマーケティング時代を迎える以前から、BtoBマーケティングの現場ではターゲット企業の経営層とのリレーション構築に苦慮する企業は多く、特にエンタープライズ企業の経営層となると、その難易度は大きく跳ね上がるため、試行錯誤を繰り返していました。

しかし、かつては「ゴルフコンペを伴った小規模セミナー」や「完全招待制のラウンドテーブル」「著名人を交えた意見交換会」など、ある程度は手法が確立され、開催情報が公開されてはいないものの、頻繁に行われていました。これはどれもオンラインマーケティングでの実現が難しい手法です。マーケティングのデジタルシフトにより、こうした手法から遠ざかってしまった企業がほとんどで、以前ほど行われている様子はありません。

ここで改めて「なぜ経営層とのリレーション構築が難しいのか?」について考えてみましょう。

まずはアプローチの課題があります。そもそも、経営層は人数が少ないため情報システム部門や業務部門へのアプローチとは集客難易度で歴然とした差があります。オンラインでの施策は広く網を張ることに意識が向いた進化を遂げているため、一本釣りを行う手法は遅れています。オンラインでの集客が不得手な領域なのです。経営層へのアプローチは、一部の専門メディアか、特殊なチャネルを用いて行うことが一般的です。

つぎに経営層向けのコンテンツの課題があります。経営層側から共感を得られるような情報は、広く一般に出回っているようなコンテンツでは満たせません。よって、経営層に対してアプローチを仕掛け、リレーションを強化しようにも、提供するコンテンツを調達する難易度が高いのです。

このように、経営層に向けた施策と情報システム部門や業務部門に向けた施策には相違点が多くあります。
情報システム部門や業務部門には、メール配信などに代表される一方向の情報発信でのアプローチでも充分に効果が期待できますし、マーケティングのフェーズが進み商談化に近づくにつれてオンラインセミナーやバーチャル展示会による双方向コミュニケーションの効果も期待できます。さらに、必要なコンテンツの調達も、ヒアリングや取材先に困ることなく、相応のコンテンツ調達が可能です。

一方で経営層相手では、その存在数自体が極端に少ないために、一つの失敗が大きな損失につながる可能性もあります。よって無駄撃ちになるような施策は避けなければなりません。また、経営層ならでは独自の視点や視野、ビジネス的な時間感覚を持っていることが多く、広く一般に流通しているコンテンツを提供して「期待はずれだ」と思われてしまうことは得策ではありません。

こうした背景を考えると、先に触れたような「ゴルフコンペを伴った小規模セミナー」や「完全招待制のラウンドテーブル」「著名人を交えた意見交換会」は非常に効果的でした。これらは一方向でも双方向でもなく、参加者同士の交流も視野に入れている施策であり、単純な情報のインプットではなく参加者同士の交流も図れるという特徴があります。社内で課題や悩みを共有することができない経営層にとって、同じレイヤーにいる人との交流は、それ自体が魅力的なコンテンツとなり得るので、これを利用した上手い手法だったと言えます。要は経営層に向けたアプローチの有効な手段として、「誰と繋がりが持てるのか?」ということが重要になってくるのです。

しかし、残念ながら経営層に対して、このような施策にとって代わるオンライン手法は、現状では見出せていません。

経営層とのリレーション構築を実現するには?

これまでに書いた通り、経営層とのリレーション構築をオンラインマーケティングで上手に行っている企業は多くありません。この難局面はどのようにして打開していくべきなのでしょうか?

これには大きく二つの道があります。一つは「経営層に対してはオフライン施策への回帰を行う」ということ。もう一つは「自社の経営層を積極的に巻き込んだマーケティングを行う」ということです。

まず「経営層に向けてオフライン施策への回帰を行うこと」について考えていきましょう。

やはり、経営層とのリレーション構築は実際に対面して行う状況が有効です。マーケティングのオンラインシフトとは別軸で捉え、積極的にオフライン施策を活用することが重要になってくるでしょう。コロナ禍以降、経営層に特化したリストを供給するサービスも増えているため、経営層向けの小規模なイベントを企画することの難易度は下がってきています。

次いで「自社の経営層を積極的に巻き込んだマーケティングを行うこと」について考えましょう。

これは単純なことで、マーケティング部門だけで経営層向けの施策を実行するのではなく、積極的に関係部門を巻き込んでいくということです。自社の経営層や経営企画部門に改めてエグゼクティブアプローチの重要性を認識してもらい、「エグゼクティブ同士の接点構築」や「人脈の活用」、「高度なリレーション構築」に対して積極的に介入してもらうことで、大きな商談であっても受注への道筋を早くすることが可能になります。こうした取り組みはセールス部門に対する支援にもなるため、セールス部門の士気向上やマーケティングとセールス間の連携強化にもつながります。
また、自社の経営層から発信される情報は、他社の経営層に向けたコンテンツへも転化しやすく、経営層に向けた施策を難しくしているコンテンツ調達の課題も解決することが可能です。

未だ解決しない経営層に対するマーケティング施策ですが、このまま手付かずという訳にはいきません。そして、対面を交えた経営層に対する施策を実施している企業も、少数ですが増えてきているのです。

この記事を書いた人

BtoB Marketing eX株式会社エムエム総研

BtoB Marketing eXは株式会社エムエム総研が提供するBtoBマーケティング支援事業です。BtoBに特化した実績と専門的な知見を活かし、「戦略」と「実行」を兼ね備えたBtoBマーケティング支援企業として、お客様の課題解決と事業拡大を支援いたします。

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