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展示会出展の効果を最大化するには?

  • イベント

2025.06.11

2025.06.11

こんな人におすすめ

  • 展示会出展を検討または計画している
  • 展示会に出展しているものの、効果に疑問を感じている

BtoBマーケティングにおけるリードジェネレーションにとって、展示会への出展は非常に有効な施策です。展示会出展のメリットは、「短期間で一定数のリストを獲得できる」「ある程度セグメントされた状態でのリスト獲得ができる」「ターゲットの実際の声を聞ける」など数多くあります。

一方で、予算が膨れがちであったり、準備の工数が膨大になりがちだったりと、課題があることは否めません。特に少数精鋭のマーケティング部門にとっては大きな負担になってしまうこともあるでしょう。

本コラムでは、BtoBマーケティングにおける有効なリスト確保の手段として無くてはならない施策である展示会出展を、出展目的がリード獲得であることを前提にして、より効果的にするためにはどの様なポイントを意識するべきなのか考えてみます。

展示会出展のメリット

冒頭でも触れた通り、展示会出展には様々なメリットがあります。最も大きなメリットであり、主目的となるのはマーケティングリストの獲得です。コロナ禍を挟んで一時的に来場者数は落ち込んだものの、今では主要な展示会では来場者数は回復しています。また展示会によっては、ターゲットになり得ないような層の来場者が減ったことで、以前より良質なリスト獲得に繋がっているという声も聞きます。

ターゲットとの濃密なコミュニケーションも展示会の大きなメリットです。Webでのリード獲得施策では広く浅くアプローチする施策になりがちで、双方向のコミュニケーションは不可能ではないものの展示会には及びません。反応をダイレクトに収集することはターゲット像を浮き彫りにし、今後のマーケティング施策をより先鋭的なものへと発展させる材料になります。さらに説明員として参加する営業部門にとっても、ターゲットとの直接的な対話は刺激になりますし、そこから新たな営業手法のアイデアが生まれることも少なくありません。

他にも展示会出展のメリットは挙げればキリがありません。主要な大型展示会であればアライアンスパートナーの発掘も可能ですし、効率的な競合調査にも活用できます。副次的な効果としてマーケティング部門と営業部門の連携強化や士気向上までも狙って出展する企業もあります。展示会への出展は、準備に多くの工数や負荷がかかるため、大きな達成感を伴います。この達成感が部門間の連携強化や士気向上に寄与するからです。

このように、多くのメリットを包含する展示会出展ですが、出展の効果を疑問視する声も決して少なくありません。

なぜ展示会出展に否定的な声があるのか?

先に挙げた通り、展示会出展には多くのメリットがあります。一方で、展示会出展に否定的な声もあります。その理由の多くは「短期的なROIが悪い」「顕在層の獲得効率が悪い」といったマーケティング施策としての効果への不満と、「準備の負荷が大き過ぎる」「コストがかかる」といった業務上の負荷に対する不満です。

展示会出展に否定的な組織では、 展示会の効果を“短期的なROIに偏重したリード獲得数”にフォーカスし、他のWeb施策などと効果を比較している傾向が見受けられます。展示会の主目的がリード獲得になることは必然ですが、獲得したリードは必ずしも品質が高いものであるとは限りません。確かに展示会は、ある程度のセグメントができた状態で短期間に大量のリードを獲得する施策です。そして多くの展示会主催者は「商談に結びつく」「高い役職者割合」などを謳って出展を促します。しかし、大規模な展示会になればなるほど来場者の目的は多様になり、自社の顕在的なターゲットである確率は下がります。それをweb上での能動的なアクションを得て獲得に至ったリードと品質面で比較してしまうのは早計と言わざるを得ません。

ブースの運用方法で業種や役職、さらには抱える課題によるセグメンテーションができないわけでは無いですが、複雑すぎる運用フローをもとに名刺を獲得するよりは、大雑把に多くのリードを獲得し、会期後に精査していく方が理にかなっている場合が多いのです。こうした背景から、展示会でのリード獲得は短期間での商談化数のような短期的視点で評価するべきではなく、会期後のナーチャリングと合わせて長い視点で評価するべきだと言えるでしょう。

また、展示会出展の効果を高い精度で計測できている組織は実は多くはありません。獲得したリードをマーケティングリストに単純にマージしただけで、その後の商談数や契約数までトレースしていない、といった状況に陥っている組織は多く存在します。これでは正確な出展効果を計測することは出来ません。Web施策ではキャンペーンごとの効果検証は出来ているのに、なぜか展示会出展を切り離して考えてしまっているという組織は少なくありません。展示会出展は多くのリソースを割いて実施する大型施策です。パワーがかかるが故に特別視して、他の施策と切り離して独立させてしまっていないでしょうか?

展示会出展がリードジェネレーションを担っている以上、その後にはナーチャリングが必須です。「展示会という特別な環境で得たリードに対して、どの様な会期後施策を用いてナーチャリングしていくのか?」これこそが展示会出展にとって最も重要なポイントです。獲得したリストに対して、ヒアリングした情報を元に、どのように商談化まで導いていくのか。このロードマップを描かないまま出展しては効果を高めることは出来ません。

展示会出展の効果を最大化するには?

では、どの様にして展示会出展の効果を高めていけば良いのでしょうか?

多くの企業では、出展計画を立てる際に「ブースの設計や造形」と「獲得リード数に対する人員計画」を中心に企画を練っています。もちろん、展示会はターゲットとの貴重なタッチポイントになるので、造形をはじめとした印象に関わる部分も重要な要素です。しかし、それ以前に「マーケティング全体を見据えた展示会出展の役割と事後施策の設計」や「適切な目標設定と、目標に基づいた出展計画」を熟慮して出展に臨むことが展示会の効果を高める、あるいは展示会への出展に“納得できる”ための条件になります。

「展示会出展の役割と会期後施策の設計」とは、マーケティング年間計画において、出展する展示会の役割を設定し、想定される来場者像に対して有効なコンテンツを検討し、事後施策を設計していくことです。獲得したリストに対するインサイドセールスのコミュニケーション設計も事前に検討しておくべきです。また、会期の2ヶ月後に有用なセミナーを実施したり、アンケート回答者に対して関連コンテンツが掲載されているWebページへ誘導したりと、確実にナーチャリングを進めていくための展示会を起点とした具体的なロードマップを描く必要があるでしょう。会期後の施策まで含めて描くことで、ブースで展開すべきコンテンツも見えてきます。

そして、展示会出展に対する総合的な評価を、“名刺獲得数”のようなマーケティング的に効果が不明瞭な数値で測るのではなく、会期後の長期的な商談化数や契約数といった効果が明確化できる指標で評価します。そして、従来展示会出展の最大の目的にされがちだった名刺獲得数やアンケート回収数は、展示会“当日”のKPIとして設定し、運用スタッフの役割ごとに細かく目標に落とし込んでいくのが良いでしょう。例えば、フロントでの呼び込み担当やコンパニオンのKPIを名刺獲得数、説明員である営業人員のKPIをアンケート回収数、ブースの運営責任者のKPIをホットリード獲得数に割り振ることで、各ポジションの役割はより明確になり、成果も高まります。

展示会出展は、BtoBマーケティングにとって多くのメリットがある重要な施策です。準備にかかる負荷を無駄にせず、その効果を何倍にも高めるために、改めて出展計画を練り直す必要があるのでは無いでしょうか?

この記事を書いた人

BtoB Marketing eX株式会社エムエム総研

BtoB Marketing eXは株式会社エムエム総研が提供するBtoBマーケティング支援事業です。BtoBに特化した実績と専門的な知見を活かし、「戦略」と「実行」を兼ね備えたBtoBマーケティング支援企業として、お客様の課題解決と事業拡大を支援いたします。

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